公認会計士がウェブ解析の知見を持てば鬼に金棒 ウェブ解析士マスター 森山 正継さん

「仕事とデジタルマーケティングと資格」をテーマに、ウェブ解析士協会会員の働き方を深堀りするインタビュー。86人目は、CPAエクセレントパートナーズ株式会社・広報部部長の森山 正継(もりやま まさつぐ)さん。公認会計士をはじめ士業に携わる方へのウェブ解析士取得を推進し、社内外で支援に注力されています。今回は、日本三大難関資格のひとつである公認会計士を持つ方がウェブ解析士を取得するメリットと、有資格者のあり方をお話いただきました。

(インタビュー・編集:ウェブ解析士 ふじねまゆこ)

目次

会計ファイナンス人材の人生すべてを支援するために

――森山さんは、公認会計士資格スクールCPA会計学院を運営するCPAエクセレントパートナーズ株式会社の広報部部長をされているそうですね。御社の事業について教えていただけますか?

森山正継さん(以下、森山さん):私たちは「会計人材に貢献するインフラ企業になる」というビジョンを掲げ、会計人材の生涯支援に取り組んでいます。

学びの支援として、公認会計士資格スクール「CPA会計学院」は、公認会計士試験合格者の過半数を輩出(2人に1人以上がCPA受講生:2023年実績)、簿記や会計を完全無料で学べるe-learning「CPAラーニング」では1,000本以上の動画を無料公開し、現在、50万人以上の方に登録していただいています。

キャリアの支援としては、会計人材特化型 転職エージェント「CPASSキャリア」、会計人材特化型 求人サイト「CPAジョブズ」、公認会計士受験生特化型 求人サイト「CPAネクスト」を展開し、人材交流支援としては、会計人材の生涯支援プラットフォーム「CPASS」を運営し、年100回以上の会計士やCFOなどの交流会や相談会を開催しております。

――広報活動では、ウェブ解析士の知識をどのように生かされていますか。

森山さん:弊社の広報部はマーケティング・PR・クリエイティブ制作・イベント運営などの広報活動を全社横断的に対応しているので、普段からデジタル技術に触れ専門用語でコミュニケーションを取っています。

私がウェブ解析士の学びで素敵だなと思うところは、「事業の成果を出す」という本質的な思考を重視する点にあります。その本質的な思考をウェブ解析士の学習テキストで学べるので、社内のメンバー育成の場で体系的に活用しております。

マーケティングなどの広報活動に携わる人はどちらかというと手段にこだわりがちですが、本質は事業の成果です。私たちの広報活動でも、手段と目的を間違えない解析活動にウェブ解析士の知識が役立っています。

――ウェブ解析士マスターが社内にいることで、周りのみなさんから頼りにされるのでは?

森山さん:そうですね。デジタル分野に精通した人間は今の時代だからこそ必要とされているというのは、業務の中でもすごく感じています。日進月歩な分野でもあるので、日々新しい情報を取得し、学びを継続することで頼っていただける存在であるように陰ながら努力しています(笑)。

CPA会計学院公式サイト

公認会計士にウェブ解析士を勧める理由

――公認会計士とは、具体的にどのようなお仕事なのでしょうか?

森山さん:公認会計士は医師、弁護士と並ぶ三大国家資格と言われ、会計・経営・税務のプロフェッショナルです。受験資格はなく、年齢や学歴、職業、国籍による制限はなく、誰でも平等にチャレンジできます。業務の中で、企業の財務諸表の監査業務は公認会計士の独占業務です。監査業務だけではなく、公認会計士の仕事は多岐にわたり、キャリアの広がりと将来性が大きな魅力です。税務(税理士登録もできる)、IPO、M&A、VC、投資や資金調達などの支援、経営コンサルティング、CFO(最高財務責任者)、CAO(最高管理責任者)としての活躍、これらの知識と経験を活かした起業・独立開業といった道もあります。また、試験合格者だけではなく、広範囲な事業経営の学習範囲から受験経験者の市場価値も高い資格と言われています。

――森山さんは、「公認会計士などの士業の方々が、最新のデジタル情報を学ぶ状態が当たり前になることが重要」と考えていらっしゃるそうですね。詳しく教えていただけますか?

森山さん:今、デジタル技術の発展によって世の中が刻々と変化していると感じます。特にChatGPTや生成AIをはじめデジタル技術の発達により、会計士のような専門職であっても業務の変化が進んでいます。

そういった状況下ですので、公認会計士などの士業の方々でも最新のデジタル技術を体系的に学べるウェブ解析士資格を早い段階で学んで欲しいと思っております。

加えて、公認会計士などの士業の方々のクライアントもデジタル化が進んでいることも意識して欲しいと考えております。社会全体でデジタル技術を活用することが当たり前になってきている中で、顧客理解を深めるためにも、ウェブ解析士の知識は役立つはずです。

――公認会計士がウェブ解析士を活用できるシーンを、具体的に教えてください。

森山さん:ほとんどの企業はウェブサイトを持ち、何らかのデジタルマーケティングに取り組んでいらっしゃると思います。そこでデジタル分野の専門的知見を持つ会計士が監査を行うと、企業理解の質が間違いなく向上します。

また、デジタルマーケティングの知見がある会計士ならば、経営視点でデータドリブンな意思決定に貢献できます。経営者と同じ視点でお金の流れを見て、経営課題に直結する支援ができるとなれば、これほど心強いことはありません。

弊社では毎年公認会計士試験を合格された大学生が受験指導のアルバイトとして勤務するのですが、その中でウェブ解析士資格に興味を持って取得された方(画像左:鈴木爽矢さん)も出てきましたので、徐々にこのような挑戦心を持った会計士が活躍してくれることを心から願っております。

ウェブ解析士資格を取得された公認会計士試験合格者の鈴木爽矢さん
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成果に貢献する行動がデジタルマーケティングの価値を高める

――すでにウェブ解析士の資格を持っている方へ、伝えたいことがあるそうですね。

森山さん:世の中にはウェブ解析士だけでなく、様々な背景を持つ方がウェブ関連のビジネスに関わっています。

なかには、ウェブ解析を学んだ私たちが首を傾げるようなビジネスを展開する企業もあり、そのような成果につながらない提案がデジタルマーケティングに関わる人々の評価を下げている事実があります。

だからこそ私たちウェブ解析士は、事業の成果に貢献するという行動規範にしっかり向き合うべきだと考えています

――非常にドキッとする言葉ですね。具体的にどうすればよいのでしょうか?

森山さん:私たちウェブ解析士は自分たちだけの利益だけではなく、三方よしのマーケティングを行動と結果で示していく必要があると思っています。

事業会社・支援会社関係なく事業の成果を出し続けて、ウェブ解析士の実績が広まることで、業界イメージが向上していくのではないでしょうか。

――森山さんの言葉にワクワクするとともに、責任の重さも感じます……。

森山さん:資格って、取得した先の活かし方が資格取得に費やした時間に対するリターンになりますよね。学びを活かした提案の積み重ねが、事業の成果に繋がるウェブマーケティングになると思います。

――ウェブ解析士に限らず、資格を持っていても実績がなくて自信が持てないケースが散見されます。自信を持つにはどうしたらよいのでしょうか?

森山さん:自信というのは、なりたい理想を求める過程のなかで身につくものだと思っています。

今の実績に目を向けてしまうと自信を持てない思考に陥りがちです。そうではなく、なりたい姿を想像してみてください。その理想と現状の差が見えれば、「今、できないこと」ではなく「なりたい自分になるために何をすべきか」と「次の行動」に向けて一歩踏み出せるはずです。その行動の結果の積み重ねが「自信」になるので、まずは行動することでいずれ自信は持てると考えております。

利己的な成果の追求は、結果的に業界を衰退させる

――本質的な成果を追求する文化を、組織や地域、業界レベルで浸透させるには、どうするべきだと思いますか?

森山さん:一概に正解はないと思います。その前提で私の意見をお伝えすると、新しい分野の発展は、玉石混交の状態から徐々に洗練されていくものだと解釈しています。

私が独立して事業運営した時の視点、支援会社にいた時の視点、事業会社にいる現在の視点から見て、素晴らしい事業運営を一貫して行う企業は、社会に貢献するミッションやビジョンが明確です。目的・目標意識が明確で、社内にしっかり浸透している組織は強く、周りから見ても素晴らしい会社です。

自社の利益だけ追求するのではなく、広く社会へ貢献する志を持った素晴らしい企業が業界全体で増えれば、業界全体が素晴らしいものになるはずですよね。

――確かにそうですね。目的・目標がなければ、戦略全体がぶれてしまう。

森山さん:各社が誰のために、どのような価値を持って社会に貢献するのか明確に定義づける必要があります。企業単位で目標を掲げるなら、それによってエンドユーザーにどのような価値を届け、その先に何を目指しているのかを示すべきです。そういった定義づけがない業界や組織は、目の前の業務だけに集中してしまい、組織力が十分に発揮できず、個々の力しか影響力を発揮できない企業となってしまうと考えております。

デジタルマーケティング業界も、まずは目的を、次に目標を定め、それらに向かうための行動計画を立てていくべきです。成果にコミットする行動を、この業界の学びにおけるパイオニアであるウェブ解析士協会や社会的貢献意識を持った団体が、根気強く発信し、一人ひとりのウェブ解析士ホルダーが目的目標を持って行動していくことがとても重要です。

――森山さんはどうして、「みんなの意識を上げていこう」と考えるようになったのでしょうか。

森山さん:みなさんも、目の前の不満や不足感を突き詰めていくと、その考えに行き着くのではないでしょうか。

ウェブ解析の仕事に取り組むと必ず壁にぶつかるはずです。例えば、本当にその仕事がお客様や自社事業にとってプラスになっているのかとか、短期的な利益を追求するあまり、長期的には事業に悪影響を及ぼすのではないかとか、お客様に対して真に価値を提供できているのかといった疑問です。

このような壁にぶつかったとき、まずは目の前の課題、次に組織や業界、そして制度や国や世界へと意識や視座は上がっていくものだと思っております。ウェブ解析士として本気で社会的価値貢献を成したいのであれば、単なるデータ分析に留まらず、その結果を元に持続可能な解決策を提案し、社会全体に貢献することが重要だと考えております。

――確かに、事業の成果は一人では導けないですもんね。

森山さん:ウェブ解析士が周りから求められる役割の中で成果にコミットしたとき、なぜそのような成果になったのか、本当にみんなが喜ぶ成果になっているのか、成果につながった理由をしっかり発信していく必要があります。このプロセスを通じて、周囲の人々に影響を与え、共に成長するリーダーシップが発揮されると考えております。

――私たちの行動はすべてつながっているんですね。最後に、ウェブ解析士をこれから取得しようと思う方へメッセージをお願いします。

森山さん:ウェブをはじめデジタル技術に関わる人材は、今の時代に欠かせない存在です。私は、その知識・技術を持つ人々が、業界価値や市場価値を高めていく存在であってほしいと考えています。

なかでもウェブ解析士は、行動規範「事業の成果に貢献する」をもとに行動を起こし、日本経済や社会に貢献できる体系的な知識を持っています。一人ひとりがその知識を活かした行動を起こせば、資格の価値や人材の価値も高めていけるはずです。そして、ウェブ解析士資格取得者が社会的貢献意識を持つことは、個人の成長だけでなく、組織や業界全体の発展にもつながります。短期的な利益だけでなく、長期的な視点で社会全体に貢献することを目指すことで、真の成果を上げることができます。

ぜひ一緒に、ウェブ解析士として誇りある未来を作っていきましょう! 

あとがき

国内最難関の専門領域を持つ方の金棒としてウェブ解析士の知識が活用されている状況に、ますます身が引き締まる思いです。誰のために、どんな価値を提供し、どんな理想を掲げて行動するのか明確にして、自分にできることを頑張りたいと思えたお話でした。(ふじね)

関連リンク

公認会計士資格スクール「CPA会計学院」:https://cpa-net.jp/

簿記や会計を完全無料で学べる「CPAラーニング」:https://www.cpa-learning.com/

会計人材特化型 求人サイト「CPAジョブズ」:https://cpa-jobs.jp/

会計人材特化型 転職エージェント「CPASSキャリア」:https://cpa-career.jp/

会計人材の生涯支援プラットフォーム「CPASS」:https://cpass-net.jp/

CPAエクセレントパートナーズ コーポレートサイト:https://cpa-excellent-partners.co.jp/

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